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O2O とコンテンツマーケティングの交差するところ、マーケティングのミライ

一番大切にしているのはリアルでの感覚

花崎 黒瀬さんの場合、いわゆるマーケティング施策を考えたりすることも結構あるじゃないですか。昨日の質疑応答でちょっとおもしろいなと思ったのは、新規並びに新規に近いところを送客するための施策と、すでに顧客化している人達に対する施策のプランニングにおけるハードルの違いというところ。そこを改めてちょっと、わかりやすく教えていただけませんか。

黒瀬 一番大切にしているのは、リアルでの感覚。スマートフォンを活用した企画も、今までやってきた実店舗の体験以上には大きなものにはならないと思っています。そしてやればやるほどアナログに戻っていっている気がしていて。むかし商店街のガラガラ抽選でハワイ旅行いけます、みたいな企画があるとみんな行っていたと思うんです。帰ったら友達に「あそこでガラガラやってたから行こうぜ」といったワクワク感を、いかにスマートフォンで演出するかだけだと思っていますね。

花崎 仮想空間上のソーシャルで拡散するとか、そういった仕組みづくりも含めて。

黒瀬 結局商店街の人がお金とか知恵を出し合って、頑張った結果がリアルのイベントになっている。それをいかにネットというフィルターを通して届けるかというところが基本になるかと思うんです。

花崎 実際に店舗に来てもらう、あるいはなんらかの現場、会場に来てもらうということから言えば、実態を伴う生身のイベントがいかに魅力的なコンテンツであるか、ということもセットで考える必要があるということでしょうね。

黒瀬 そうですね。だから、どんなアプリでもツールでも「これを採用したら売り上げが劇的に上がるだろう」とか「これ作ったらいくら売上あがるの?」といったことをよく言われるんですけど、売り上げが上がるかどうかは全部お客さん次第なんですよね。

株式会社大和広告 代表取締役 花崎 章花崎 アプリをうまく活用するためのコンテンツとして「現場で一体何が起きているのか?」というものが中心にあって、それをデジタルテクノロジーが補完をしたり、手助けして、より魅力的なものになったり、その情報が2次コア層に飛んでいったりする。そんな感じでしょうかね。

黒瀬 マーケットも大分変わってきて、マスをとらえていくやり方というのが、徐々に減ってきているのかなと感じますね。

花崎 耳の痛い話です。そういうお仕事もたくさんありますからねえ。

黒瀬 まあ、その辺はもみあっていくのかなと。

花崎 さっき2次コア層って話が出たんですけど、黒瀬さんのおっしゃる純粋な新規ではない2次コア層について教えていただけますか。

黒瀬 2次コア層っていうのは、例えば「いつも奥さんが通っている」とか「通勤路で見たことがある」とか「一回なんかのついでに行ったことがある、けど毎日は行かない」という層があるかと思うんですよね。簡単に言えばそれです。

花崎 一応は本人が軽く体験済みということですかね。

黒瀬 そうですね。何かしら今まで接点があるお客さんを2次コア層って呼んでます。というのも、駅2つ離れたスーパーに何かの半額券が出たからといってそこまで行く人は少ないと思うんですよね。やっぱり自分のライフスタイルの中でできる限り身近なところに可能性があるのかなと思うんですよね。

花崎 よく言われる「レレバント」みたいなことですかね。自分にどう関係あるのか?という視点でなんらかの接点があるということですよね。あるいは、ソーシャルが効く人間関係っていうのも2次コア層に入ってくるということでしょうか。効果的にO2Oマーケティングが効く層として。

黒瀬 そうですね。スマホは常に身に付けている一番身近な電子端末なので、コミュニケーションそのものもかなり近くなるんですよね。従来のものと比べて。すると接点がない人は、相対的にうざったく感じてしまいます。だからこそ距離が近い人をいかに囲い込んでいくのかというところが、一番相性がいいと思うんですよね。

花崎 なるほど。そういう意味では、当たり前ですけど、生活者というかターゲットオーディエンスのことをより深く知ることが、アプローチとしてより大切だと思いますね。ようするに生活者の頭の中。そして実際の行動。黒瀬さんが提供しているテクノロジーで細かい行動は捕捉できる。それによってこの人、またはこういう層の人達はこう動くんじゃないか、というデータはどんどん明らかになってくると思うんですけど、実際に行動を補足するためのテクノロジーって今どこまで進んでいるんですか?

黒瀬 ビッグデータの領域ですね。ここはもうかなり行っていると思いますね。

花崎 そこをちょっと詳しく知りたい。どんなことができちゃうんですか?

株式会社アイリッジ 取締役COO 黒瀬 翼黒瀬 例えば日常の行動を把握すること。WEBの世界では、どのキーワードで検索して、その人がどのページにいって、どのページから戻っているというのが全部わかると思うんですけど、それはもうスマートフォンを持っていたら、リアルの現場で全部把握されていると思ったほうがいいですよね。全部が全部やってないと思うんですけど、持っている人がどこに行ってるかとか、どこに入ったとかいうものは、技術的にはどんどん計測できるようにはなってきていますね。

花崎 例えばどんなことができるんですか?ちょっとこれはビビるぜみたいな。

黒瀬 全部データの掛け合わせなので、どこどこに入ったとかいうデータはわかって、購買データを付け合せると買ったのか買っていないのかがわかりますし、今一番ホットなおもしろい情報っていうのは店に行ったけども買わなかったデータも取れるんですよね。今までクーポンとか渡したりしても何人の人が買ったというデータしかとれなかったと思うんですけど、カスタマーがお店に行って買わなかったデータも取れたりしますので、これからのマーケティングでは重要になってくると思いますね。

花崎 なるほど、なぜ買わなかったかを考えるということですね。

黒瀬 そうですね。スマートフォンのデータを連携していけば、たとえばその人が家で買っているといったように、ネットで買っている人のリアルでの行動のパターンが把握できます。オムニチャンネルという分野だと思うんですけど、ECと店舗をどううまく活用するか、というところですね。行動履歴だったり購買履歴がとれるようになってきたので、それらを合わせることでそれぞれの特性がわかってくると思うんですよね。

花崎 こういう層はこういう購買行動を起こしがちだというマクロのものと、個別にこの人はこういう行動をとりがちなんで、それに合わせたメッセージを出しわけたりとかっていうこともできるということですね。