「わかる」「できる」本気でお客様とつながりたい人のマーケティング実践メディア

備後企業の役員・管理職5人による座談会 モチベーションアップの本質を探る ー広告の反応率アップから社内リーダーシップまで

ダイレクトマーケティングブートキャンプで得た社内の変化

花崎 勝岡さんと秋山さんにお聞きしたいのは、ダイレクトマーケティングブートキャンプに実際参加をされてよかった点はありますか?

勝岡 やっぱり今回のテーマ、モチベーションが上がったというところですかね。

花崎 社内の?

勝岡 社内全体ではないですけど、参加したスタッフのモチベーション。ウチの場合は、皆さんみたいに「絶対いいんです。参加したいんです。」ってスタッフから言ってはこなかったんですけど、逆に僕自身が「絶対いいから、参加してみない?」といった感じで、半強制的に参加させたんですね。するとみんなも楽しみながら参加してくれた。今までやってきたことも「これがダメだったのかなぁ」って感じる部分が多々あると思うんです。自分が今までやってきたことを全否定まではいかないですけど、半否定ぐらいしつつ、やり直さなければならない。大変だと思うんですけど、そこは参加したスタッフは、いいものにしようというモチベーションが上がってきているように感じます。

高橋 モチベーションが上がるということは、何かが見えてきているから上がってきているんじゃないですかね。

勝岡 うーん。宿題を出されるんですよ、とにかく。このブートキャンプでは。

花崎 ブートキャンプですからね(笑)。

勝岡 宿題が汎用性のあるものではなくて、例えば、このPOPを作りなさいとか、これを売るための何を作りなさいといった感じの自社に合わせた宿題。半分は日頃の業務でやっているようなことを違うテーマを持って考えなさいって言われるタイプのもので、今までルーチンワークで流れ作業的にやっていたようなことも、いちいちゼロベースで考えなければならない。思考停止といったらスタッフには悪いですけど、そうなっていたところが何でも考えてやるようになったというところが非常によかったと思いますね。

株式会社大和広告 代表取締役 花崎 章花崎 それこそ販促ってもうちょっといいやり方があるのかもしれないけど、どうすればより成果につながるのかわからないケースって多いと思うんです。実際普段やっていることを、どう変えればいいのか。よくわれわれもお客様のところにいって、デザインなどいろんなフィードバックをいただくんですけど「そのように変えることによって一体何が起こるのか?」ということについては、誰も語らないんですよ。でも自分の好みのデザインとかトーンに近づけてはいっているんだけれど、それが本当に成果につながる変化なのかというところについては、広告会社側もよくわかっていないし、いや、やってみなければわからないでしょっていう話で今まで片づけてしまっているんですよね。もちろん多くの場合広告主側にもそんな知見はない。どうすればいいのか、方向づけの拠りどころになるものがないわけですよね。方位磁石のような。広告会社の中で生き残っていこうとすれば、そこが理解できている会社とそうではない会社ってやっぱり差がついてくると思うんです。ウチもスタッフが各チームに入って実際ワークアウトしてもらっていますけど、なぜかというとそこなんですよね。私達は広告会社ですから、広告のプロとして恰好悪いことはなかなかできないですよね。常に参加者の先をいかないといけないというプレッシャーがスタッフの成長を加速する、みたいな。そこはプログラム設計でかなり意識したところですね。彼らも能動的に自分の頭の中で考え抜く機会を意図的につくらないと、自分の今あるスキルの焼き直しでも何とか業務はまわっていくから、成長しないですよね。これは業種業態を問わず求められる視点だと思います。たとえば、もしアクトシステムズさんが参加されるのであれば、例えばパワーポイントのプレゼンテーションシートをどう変えるのか、こうすることによってより動機づけが起こるみたいな。

高橋 実は、直接ユーザー向けの仕事もあって、中高年向けのパソコン教室をやっているんですよ。先日、秋の体験会というのを開催したんですけど、それの募集広告は、本部の提案するパターンで作るんです。タテ型とヨコ型とか、いろんなパターンがあって、このパターンは全国的にやって集客率は何%といったような話があって、これが良い悪いみたいな。でもわからないんですよね。東京でよくても、福山で本当にそれがいいのかわからない。今まではこのパターンでやったらいいよとか、こっちは上がるよとか、わけもわからず言われたままにやっているんですよね。みなさんの話を聞いてもっと考えなければいけないと思いました。

花崎 ポイントはですね。今までやっていた事例の中で比較的成果が上がったものから選んでいくというやり方ですね。それ以上によくなるかどうかというところのチャレンジが必要な気がするんですよね。もっとこうすればいいんじゃないか。そこの視点というのが、おそらくMIYUKIさんのところで、モチベーションがアップしたというのは、「こうすれば今まで以上の成果が期待できるんじゃないか?」ということが見えてきたことによって、じゃあこっち進めばいいんだなっていうのがわかれば、行動につながりやすいじゃないですか。そこが大きいのかなって気はしますよね。

高橋 担当の女の子がこの中でもこれがいいんじゃないかなとか、こういうことを入れた方がいいんじゃないかというのをやっているんですけど、提供されたパターンの一部の変更だけです。今までは、あんまり反応が良くないんで、「こうすれば今まで以上の成果が期待できるんじゃないか?」というレベルにまでなっていません。ライバルもたくさん出てきているので、変えていかないといけないです。

花崎 秋山部長はどうですか?よかった点は?

秋山 社内的には参加した部署が一つの方向性を見出せたということがあります。こうすればいいんだっていう一つのゴールを設定するのは非常に重要だなと思いますね。結果としてモチベーションは非常に高いですね。

花崎 部下の井上さんは、もともとやる気マンマンでしたよね(笑)。

秋山 予算とか経費を度外視してやる気マンマンなのである程度抑えるんですけど、彼の場合立ち位置が非常に難しいですよね。総務と企画、管理する方と攻める方と両方兼ねていますので。ただ逆に言えば、「これぐらいの予算でこれだけ結果が出るんだったらいいんじゃないか」といった決断ができます。今までやみくもに打っていたものをやめて、そちらにシフトしていくっていうのもある程度定着してきたのかなって気はします。
先程言いましたが、福山三菱通信というのを社内で作っていますし、それをお客様にもお見せしています。営業マンがそれを営業ツールとして使えるようにしているんです。営業マンからも「あれ、まだ出来ないの?」といった声も出てきていますので営業活動にも有効に使ってもらっていますね。

花崎 あの通信は確か、プロモーション的な側面もあるけど基本的にはそこにいるスタッフの人となりがわかったりする、そういうことですよね。高橋部長のソーシャルメディア活用と同じ役割ですよね。まず、自分達をわかってもらうことで警戒心のハードルが下がり、共感や信頼感が醸成されていく。結構役に立ちますか?

秋山 そうですね。

花崎 「買いたい!のスイッチを押す方法」などの著者で小阪裕司さんっていう人がいて、僕も何度かお会いしたことがあるんですけど、あの人の書籍などでもニューズレターの効果についてはよく語られています。「同じもんだったら安いところで買う」という流れがあります。もちろん知らない人からだったら、安い方がいいんだけれど、「どうせ買うならあなたから」というふうにしたいというロジックですね。「どうせ買うならあなたから」から進んで次は「高くてもあなたから買いたい」になると。それが大事なんだっていう。そこなんですよね。そこでは人は感情で動く。ロジックで購買はしないと。ソーシャルメディアも積極的にやっておられるのでそういうことも含めて、最終的にプロモーションを見た時により多くの方に来てもらえる仕組みをどうつくっていくか。
原田室長はいい点など聞かれていますか?

原田 もちろん、先程言いましたように、広告物のターゲットを絞るというか、そういうのは成果があると思うんですけど、私が感じたのはよさの一つとして今回あえて部署の違うメンバーを選んで、結果、彼らにとっては非常によかったというところがあります。当社、零細に近い中小企業なのに、ある意味大企業病みたいなものが実はあって、部署が違うことにあまり口出しできないような。

花崎 幅広いですよね。

原田 まぁ、わかんないんで、下手に口出しするなみたいなのがあって、今回ああやって集まることで、お互い抱えている問題も見えつつ、部門を越えた人のつながりができたっていうのはよかったなぁと。

花崎 メディチエフェクトっていう理論があってですね、普段同じ業種の中とか、会社の中でも同一の仕事、ウチでいえば、プロモーションまわりしかみんなやらないですよね。そういう人の中では、新しいアイデアって生まれにくいっていうのがあって、むしろ全く違うことをやっている人が話をした時にイノベーティブな発想につながりやすい。よくタバコ部屋で休憩している時にアイデアが浮かぶっていうじゃないですか。他の部署の人と話していてピンと来るとか。要するに「多様性や対極の組合わせがアイデアを生む」という原理原則に従って社内的にそんな環境をつくれば、フューレックさんはイノベーションが生まれやすい企業体なのかなぁと思います。いろいろやっているじゃないですか。映画もあったり、外食でもいろんなものがあって、他にはコンビニもやっているし。ある業界では当たり前のことが他の業界では全く違うといったこともあると思うんです。そこを実はブートキャンプでは狙っていたんですよね。複数の会社が来るじゃないですか。一業種一社なんで、そういう人達が対話することによって、各社が持ち帰れるヒントが一つでも多く生まれればおもしろいかなと思っていたんですよ。そんなことはなかったですか?

秋山 それはありますよ。気づきあります。前のインタビューの時にもお伝えしたんですが、やっぱり同業者だったら話って、当たり障りのない話になるんですよ。

花崎 知り尽くしているんですよね。お互いにね。

秋山 そうなんです。でも異業種の人との話っていうのは非常に話が膨らんで、「あっ、そういった考え方もあるんだな」っていう新しい気づきがあったのは、今回よかったですね。

花崎 業種によって全然違いますよね。我々広告業界なんかもそうなんですけど、例えばEコマースを促進させるみたいなことをサービスとして提供するんだけど、オフライン発祥の広告会社でデジタルテクノロジーを活用して自分達の営業活動をガンガンやっている会社って聞いたことありますか?あまりないんですよね。暗黙の前提で仕事は営業マン経由で来るもんだと。それは違うかなと思っていて。業界や会社に残る暗黙の前提ってあるじゃないですか。広告会社の場合、営業マンみたいなプロデューサー的な人がいて、その人が仕事をとってくるのが暗黙の前提。自社が提供する広告などプロモーションの類いはほとんどやらない。検討した結果ではなく、やること自体念頭にないケースが多い。One on Oneで顧客担当者が決まっているから、その担当者と仲良くなって仕事をとってくるみたいなのがあるんだけど、このブートキャンプをはじめイマジナクトラボの事業では「デジタルでどう関係を築き、集客するのか」みたいなことを積極的に実践しています。それが当社の多様性にもつながると思うんですよね。
ところで、ブートキャンプ参加を通じて「悪かった点」っていうのはありますか?気になった点とか、全体の講義の内容だけでなく、設営、運営。なんか聞いていらっしゃれば。悪い点というのでは言いにくいのであれば、ここ、こうすればもっとよくなるという言い方でも結構です。

勝岡 前まで思っていたんですけどね。

花崎 思い出してください!

勝岡 (笑)

花崎 ちゃんと載せますから(笑)。思い出してからでもいいです。

株式会社フューレック 経営企画室 室長 原田 公晴さん原田 社内的な問題なんですけど、最初、当社では報告書を書いていたんですけど、途中から結局課題中心なので報告書を書きようがないみたいなものがあって、彼らとしてもどう報告していいかわからなかった部分があるんでしょうけど。それで昨日「どうなんだよ?」と、「そういえばどうなってるんだよ?」っていったら、実はこうこうで、その話を聞いて「そんなすごいことやってたのか」と。「こういうことやっています」というのをどんどん出してくれたらよかったなぁと。これ社内の問題ですけどね。

花崎 そのプロセスをうまく透明化させる方法があればいいですね。Facebookグループに入っていただくというのも一つの手かもしれませんね。
ブートキャンプ参加者のFacebookのコミュニティがあるんですけど。

原田 参加者だけの?

花崎 そう。参加者がそこでディスカッションしているんですけど、それを見るとある程度上司の方にも雰囲気をつかんでもらえるかもしれないですね。フューレックさんを例にすると、藤本社長や藤本専務が、「また花﨑のところに高い金払って本当に役に立つのか」と思ってらっしゃったとする。実際ご心配されている可能性があります。そこに対して、逆にダイレクトにニーズを聞けるかもしれませんね。それらをリアルタイムに反映をして、「フューレックさんに対してはこういう方向がいいんじゃないのか」といった具合にサービス改善に反映することはできるのかなぁという気はしましたね。